切削加工の特徴と種類について

切削加工はものづくりの原点

切削加工(せっさくかこう)は太古の昔から存在する加工技術のひとつです。人間は道具をつくり、道具を使い、いろいろなものをつくりながら進化してきました。人間の進化はものづくりの進化ともいえます。

身の回りにある工業製品、たとえば自動車などは様々な形、材質の部品を組み合わせて作られています。自動車の部品点数は、小さなネジまで数えるとなんと約3万点ともいわれています。

その約3万点の部品は、形も違えば材質も違い、作り方もそれぞれ異なっています。そしてこれらの部品は、素材に対して何らかの加工を施して製造されます。素材を部品に変換するプロセスこそが加工といいます。切削加工は数ある加工方法のひとつであり、最も基本となる加工技術なのです。

身の回りにある自転車や自動車などの工業製品から産業用の機械に至るまで、切削加工なしで製造されているものはほとんどないといえます。

切削加工の特徴

切削加工とは、切削工具類を用いて対象物を削り取る加工方法を指します。簡単にいえば「削って形をつくる加工法」です。様々な造形作業において最も多く用いられる加工方法です。
切削加工の特徴は下記の点を挙げることができます。

加工精度が高い

加工方法には型を使って変形させる加工(成型加工)や、材料同士を接合する加工(接合加工)などがありますが、様々な加工方法のなかでも加工精度が高いのが切削加工です。

高精度な加工技術により、精密さを要求される半導体装置や医療用機械、航空分野にも対応可能です。近年では超精密制御技術により、0.1nm単位での切削も行われており、カメラのレンズなどに用いられています。

複雑な形状の加工が可能

複雑な形状の加工ができるのも切削加工の特徴のひとつです。形状の異なる複数の刃を使い、工程を分けることでこのような複雑な形状の加工も可能となります。

様々な材料の加工が可能

切削加工は金属加工を中心に、木材・プラスチック・樹脂など様々な素材に用いることができます。たとえば木材のような柔らかい素材から、航空機のジェットエンジンに用いられる非常に硬い耐熱合金(Ni基超合金)まで。工具の進化によりあらゆる素材を切削加工に用いています。

切削加工の種類

加工の基本となる切削加工は、工具を工作物に当てて、不要な部分を削り取って作る加工法です。切削加工は下記の種類に分類されます。

フライス加工

フライス加工は工具となる刃物を回転させ、テーブルに材料を固定し、材料の位置をコントロールしながら工具を当てて平面、曲面、溝などを加工する方法です。回転する刃が材料に次々に食い込み、材料の不要な個所を削り取って加工します。

旋盤加工(せんばんかこう)

旋盤加工は機械加工で最もよく使われる加工方法のひとつです。材料を固定し回転させる「旋盤(せんばん)」という機械を用い、回転する「爪」に素材を取り付け、携帯用の鉛筆削りのように素材を回転させて削ります。旋削加工(せんさくかこう)とも呼ばれます。

穴あけ加工

名前のとおり材料に穴をあけたり、ねじをあけたりする加工方法です。多くの部品には固定用の穴やねじ穴がありますが、工具を回転させてこれらの穴を加工することを指します。

研削加工(けんさくかこう)

高速で回転する研削砥石を用いて、材料の表面を削り取っていく加工法です。研削砥石は非常に硬い鉱物質の微小な切刃が大量に入っており、表面をなめらかな面に仕上げたい場合や、超硬合金など硬い材料を高精度に加工するのに向いています。

きさげ加工

きさげ加工は、より精度の高い平面性が求められる製品の場合、のみに似た切削工具を使って、金属表面をなんと1000分の1ミリレベルで削って平らに仕上げます。この精度の加工は機械では困難なため、すべてを人の手作業で行います。

NC加工

NC加工はフライス加工、旋盤加工、穴あけ加工を自動化したものです。NCとは数値制御(Numerical control)を指します。

数値制御により材料に対する切削工具の刃先の動きや工程を座標値によって定義し、その情報をもとにNC工作機械に内臓されたサーボモーターが動くことで工具や材料が動作し加工が行われます。コンピュータ制御によりCNC(Computerized Numerical Control)とも呼ばれます。

シャフト加工と切削加工

弊社が得意としている精密シャフト加工も、もちろんこの切削加工で製造されています。少量多品種かつ複雑な形状のシャフトだからこそ、高度な切削加工の技術が求められます。


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