日々見積を担当していると様々な部品図を目にする機会があります。そんな中でも今回は旋盤系の量産部品に関して
特に図面に記載されている外径寸法に関しては常々思うことがあるのでこの場を借りてお話します。
それは設計者ならば素材径と量産旋盤屋が日々使用している治具の許容範囲について少し知っておいた方が良いということ。
たとえば図面上で外径の仕上がりを~(素材径)とするような場合、数量が5個程度、内径の公差が±0.05程度であれば
何とか力技で対応することが出来るのですが、もし数量が多かったり内径や外径の~部分以外の公差が±0.01等にする場合には
外径が研磨材ではない限りは基本的に素材径を維持したままの加工が極端に難しくなるため、当社の場合は図面では外径は素材の
ままでもヒト削りしてから内径や他部位の加工を行っています。もちろん保有している設備によって当社が行うヒト手間が必要ない
機械もあるでしょうが、一般的には誰に言われるまでもなく当たり前のこととして外径にヒト削りを加えていると思います。
また特に大量生産品で特に用途があるわけでもなく外径をヒト削りして見た目だけを良く見せるためだけのヒト削りの場合は、
素材径からー0.2程度までの図面表記にすると旋盤治具の規格範囲に治まるため既に同径の治具を保有している会社ではわざわざ
治具費を支払う必要がなくなり見積算出段階で治具費が不要となるため価格が大幅に下がったり対応納期も劇的に短くなったり
する可能性もあります。そのため外径は図面上の数字的なキリは悪くなりますがΦ29.5よりもΦ29.8とする方が相見積もりの際は
大きく差が開いたりもします。当社でも保有治具(チャックと言います)でギリ許容であると判断すれば治具費は極力計上せずに
回答しています。(注文頻度が多いことが予想される場合は単に価格競争面的観点だけで計上しない場合も当然あります)
特に量産旋盤屋は社歴即ち保有チャックの種類や数量でもあるため、役目を終えていた治具が違う何かで活かせることは
量産旋盤屋にとってお客さんに負担を掛けずに対応出来る道具でもあるため、大切に、解り易く整理整頓していたりします。
あえてこれからの未来に旋盤ベースの部品図面を描こうとする稀有な設計者の方はぜひこの考え方、捉え方を胸に設計して
頂くと1零細旋盤加工屋の見積もり担当としては大変ありがたかったりします。